歴史の古い車に鑑賞的な価値を見出す

車は人や物を乗せることでその真価を発揮する存在であると思います。実際、主婦の買い物からサラリーマンの出勤という個人的な小さいものから、荷物の輸送など流通経済という大きな枠組みまでを担っている根幹的なツールでありますから、車は乗ってなんぼ乗せてなんぼという価値観は否めないでしょう。

しかし、本当に車の価値はそれだけなのでしょうか。私はそうではないと考えます。なぜなら、車が評価されるポイントとしてその利便性は大きな要素であるものの、デザインもまた重要な要素であるとされているからです。そして、特にそのデザインが芸術的な価値を持つのが歴史の古い車ではないかと思うのです。

車は常にモデルチェンジを繰り返してきており、たとえ同じ車種名であったとしても年式が違うだけで全く別のデザインになっています。それゆえに、数十年前の車ともなれば現在の道路には全く走っていないようなレトロな雰囲気とデザインを持つものが多々存在していると考えられるでしょう。

h_088そのような歴史の古い車は当然今では部品も製造されていませんから動かなくなっていることが多く、公道を走ることはまず不可能です。しかし、たとえ動かなくなったとしてもその歴史、そしてレトロ感、プレミア感に鑑賞的な価値を見出すことができます。

実際、世の中にはレトロカーマニアが存在しており、その多くが自宅に古い鑑賞用の車を購入して所持しています。レトロカーマニアはその古い車に、今の車には無い色彩や形状、そして歴史によって醸し出される「風味」に芸術性を見出しているのです。ですから、たとえ動かない車でもその車に歴史と芸術性があるのならば、十分に鑑賞的価値が見出せるのです。